”高齢者の事故”のニュースを見るたびに、自分の家族、特に「高齢でもいまだに運転している両親」のことが気になってソワソワすることはありませんか?
しかし、「そろそろ親の免許返納について考えないとな…」と思っても、何歳から免許返納を意識したらいいかわからないですよね。
まずは「免許返納を意識する平均年齢」について知りましょう。
この記事を読み終わる頃には、免許返納の年齢についての情報がしっかり理解できます。
そして、免許返納以外の選択肢もあることがわかります。
①免許返納をしている平均年齢は?
②事故のリスクが上がりはじめる年齢は?
③免許返納のデメリットとは?
免許返納をする平均年齢は何歳?
現段階で日本では、何歳になったら全員必ず免許返納を行うという決まりはありません。
2019年に警察庁が発表し公開されたデータの結果を見てみると、
10年間で免許を返納した人は、2009年から約8倍増えて42万人を超えています。
このデータより、運転免許証の自主返納を考えだす年齢の目安は”70~80歳”が一番多いという結果がでています。
免許返納している人の「平均年齢」は76.96歳
免許返納をした人の平均年齢は、76.96歳です。
また、実際に免許返納した人の半数以上が、80歳までには免許返納を終わらせています。
免許返納を考え出す理由としては、以下です。
・70歳を超えると免許更新の際に高齢者講習がプラスで必要になる。
・さらに更新期間もどんどん短くなってくる。
70歳を超えて、1~2回目の免許更新のタイミングで免許返納考え出す人が増える傾向にあるようです。
免許返納を考える年齢の「タイミング」はいつ?
よく「高齢ドライバー」という言葉を耳にしますが、
何歳からが高齢ドライバーと呼ばれているかご存じでしょうか?
道路交通法によると、70歳以上の運転者を「高齢ドライバー」と定めています。
”運転に不可欠な判断力”は加齢により低下していく…
また、75歳からは免許更新の際に『高齢者講習』や『認知機能検査』が追加されます。
なぜなら、75歳を過ぎると「運転に必要不可欠な判断力」が低下するからです。
もちろん、加齢にともなう機能の低下には個人差はあるでしょう。
年齢はあくまでも目安として考え、ドライバーの身体の状況から判断しましょう。
車に「擦り傷」などがあるのに気づいてない、軽い凹みなど事故の兆候がある、などの兆候が見られたら運転について一度話をしてみるいい機会です。
事故のリスクが上がりはじめる年齢は?
一般的に、75歳以上で運転を続けることは、身体機能の低下が始まるので事故のリスクが上がります。
最近は連日のように、高齢者が運転する車が重大事故を起こした、高速道路を逆走している、などというニュースが報道されています。
では、「年齢による自動車事故の割合」は本当に高齢者が多いのでしょうか。
事故のリスクが高い年齢は何歳?
その傾向を表したグラフがあります。
警察庁交通局が公開している「平成29年度中の事故発生状況」をもとに作成しました。
この表は、「原付免許以上の保持者人口10万人に対して、交通事故が何件発生しているか」を各年代でまとめたものです。
グラフを一番上から見ていくと、16~19歳、20代がもっとも高いです。
この年代の死亡事案は、免許を取りたての若者の”無理な運転”が多いことが原因です。
よって、25~29歳ごろから落ち着きます。
60代、70代あたりからまた多くなり、80代を過ぎると交通事故件数は「1342件」です。
合算すると70代以上の事故件数は、「2420件」となります。
一般的に、高齢者の方が現役世代よりも運転回数が少ないのにも関わらず、上記のような事故件数になっているのです。
このグラフを見てもわかる通り、75歳以上になっても自分でハンドルを握るのは、現役世代の運転に比べてリスクが高いと言えるでしょう。
年齢で見る死亡事故の原因
警察庁によると、75歳以上の死亡事故の原因として最も多いのは、安全不確認や、不注意などの「内在的前方不注意」です。
交通事故の原因の約7割近くがこの「内在的不注意」です。
内在的前方不注意:67.9%
・走行中に安全確認していない(39.1%)
・安全確認せずに交差点に進入した(17.4%)
・前方不注意(11.4%)
次いで「ハンドルの操作ミス」や「ブレーキとアクセルの踏み間違い」などの「運転操作ミス」です。
「内在的前方不注意」とは?
「内在的前方不注意」とは、前方への注意が散漫になることです。
これにより、危険の発見ができなかったり遅れたりしてしまうことを指します。
具体的には、「居眠り」「ぼんやりする」「ぼーっと考え事」などが当てはまります。
これらの原因は、一見して加齢には関係なさそうに感じます。
しかし、「加齢による身体的機能の衰え」は内在的前方不注意を引き起こしやすいと言われています。
加齢による衰える主な身体的機能
・認知機能:脳重量の軽量化や大脳の萎縮。
・視力:緑内障などではさらに視野が狭まる。
・聴力:65歳以上の高齢者の約30%に耳鳴りなどの聴力障害。
・性格:活動性の低減や短気で怒りっぽくなる。
また、身体的機能が衰えてくると十分な睡眠をとっていても「居眠りをしてしまう」や「同時にいくつものことを考えられなくなる」といった症状がでてきます。
このような”身体的機能の低下”への対策として『運転サポートグッズ』の利用をおすすめします。
補助ミラーやピラーポールなど100円ショップでも売っているようなグッズでも効果は高いです。
親の運転が心配、どうしたらいい?免許返納を勧めるまえにできる運転サポート3選!
免許返納のデメリットとは?
デメリット①「移動手段」
免許返納するともっとも困るのは、返納後の移動手段ですよね。
足腰が元気なうちは徒歩や自転車など選択肢は多いです。
しかし、高齢になるにつれてタクシーや電動車いすなど費用面でも心配されるでしょう。
車の維持費は意外と高い!
しかし、車の維持費は年間で30~45万と言われています。
免許返納により車の維持費を浮かせて、タクシーや電車、バスなどの運賃に充ててもおつりがくるでしょう。
また、使わなくなった駐車場を貸し出して臨時収入を得ている方もいます。
免許返納後の特典を活用しよう!
あまり知られていませんが、免許返納後に「運転経歴証明書」を申請すると、移動手段などの様々な特典をうけることができます。
運転経歴証明書の特典
・タクシー利用券の配布
・コミュニティバス、乗合タクシーの割引
・電動車いすを貸し出すサービス
ちなみに、電動車椅子は道路交通法で「歩行者」の区分ですので、免許返納した後でも使用することが可能です。
運転経歴証明書の特典には、都道府県による違いがあります。
以下の記事に具体的な特典の内容などまとめていますのでご覧ください。
免許返納の特典や割引を徹底解説!年齢しだいでは特典が受けられないかも?!
デメリット②「介護リスクの増加」
免許返納によって外出する機会が減って、健康状態や精神的に落ち込むことだけは気をつけましょう。
高齢者の外出機会が減ると、身体機能が衰え、要介護リスクが上がることがすでに明らかになっています。
運転をやめた高齢者は、継続している高齢者に比べて介護リスクが約8倍、という調査結果もあるんです。
介護リスクに「8倍」の差⁉
参考:運転やめた高齢者 要介護になるリスク約8倍上昇の調査結果
もちろん、高齢になってもしっかり運転を継続している人もいます。
調査の結果、「運転を継続している人」と「運転をやめた人」とでは、介護リスクに約8倍もの差が生じているとのことです。
原因は、「引きこもりがちになり外部とのコミュニケーション量が低下する」や「歩くのが億劫になり運動不足になる」というものが大半でした。
せっかく自分や周りの方のために免許を返納してくれた高齢者が、健康状態を悪化させてしまうのでは意味がありません。
運転をやめるなら、ウォーキングや体操などの趣味を見つけて「できる限り体を動かす習慣」をつけましょう。
運転経歴証明書提示による、”移動手段に合った移動割引サービス”を利用する。
家に引きこもりになると要介護リスクが8倍になる。体を動かす趣味や適度な運動の習慣を!
まとめ:免許返納の平均年齢からわかる運転リスク!
今回は『免許返納をする平均年齢』ついてまとめました。
まとめ
・免許返納をする平均年齢は76.96歳、免許返納を考える年齢の目安は70歳~。
・交通事故のリスクが上がりだすのは70歳以上~。
「内在的前方不注意」が高齢者の事故原因、第一位。
・免許返納後も心身健康であるために各自治体の特典やサービスを要チェックする。
私個人の意見としては、本当に運転が危険な方以外は「できるだけ運転を続けさせてあげたい」と思います。
運転支援グッズを活用すれば、高齢ドライバーの不安を和らげ、出来るだけ長く、たのしく運転を続けさせてあげることができます。
もしも、免許返納を説得するとしても頭ごなしに免許返納を押し付けないようにしましょう。